ネット広告「クッキー離れ」広がる クッキー改革

はじめに

ネット広告産業に変調の兆しが表れています。

あなたもご存じ、「クッキー」と呼ばれる閲覧履歴データを巡り、広告主企業の間で利用を見直す動きが広がっています。

クッキーとは?

念のため、クッキーとは何だったでしょう?

改めて確認してみましょう。

いつ、どのサイトを見たかといった履歴や、パスワードなどのログイン情報をためたデータを指します。「Cookie」が正式名称です。

パソコンやスマホで使うブラウザー(閲覧ソフト)ごとに保存されるため、その端末でネットを見た人の好みや関心を推測して広告を配信することなどに使われます。

一般に広告会社は「サードパーティー・クッキー」と呼ばれる追跡用の共有クッキーを発行し、ユーザーのネット上の行動を捕捉しています。

広告主企業も広告の精度を高めるために、これを使うケースが多いんです。

クッキーそのものは氏名や住所を含みませんが、使う側の企業が他の名簿データなどと組み合わせれば、その人の個人情報を割り出すことも可能とされています。

クッキーから、病歴や趣味など知られたくない情報までたどられてしまうリスクが問題になっていました。

このため欧州連合(EU)の一般データ保護規則(GDPR)を皮切りに、世界では「クッキー規制」導入の動きが相次いでいるんです。個人のプライバシー保護につながる一方、企業にとっては対応のための負担が増す可能性が高いんですね。

クッキーは個人の趣味や嗜好を絞り込むターゲティング(狙う)広告に使われ、同広告の世界市場は2019年に初めて10兆円を超えたそうです。

しかし、各国当局も規制に動いており、個人データ活用の巧拙やルール対応は企業のデジタル化競争に影響を及ぼしそうです。

クッキーを使う広告

キリンホールディングスは20年から、3千万人超いる通販サイトや対話アプリの会員情報を使う新たな販売促進策に乗り出します。購入履歴などから各会員の好みにあった飲料や食品を薦めていきます。

代わりに見直すのがクッキーを使う広告。

「クッキーは追跡されていると消費者に悪印象を与える懸念もあり、使い勝手が悪くなっている」(同社)。デジタル広告の手法を多様化させます。

クッキーなどから個人の価値観や性格、趣味を探る手法は、ネットビジネスに欠かせない基幹技術になってきました。米国のグーグルやフェイスブック、日本のサイバーエージェントといったネット大手が主な担い手。

あなたも、色々ネット検索したことはもちろんあると思います。

ふとした時に、「あなたにおすすめのサイト」みたいな感じで、ページが出てくることはありませんか?

私はスマホでandroidを使っていますが、まさにグーグルの検索ページを開くと、下にずらーーーっと私にお勧めのサイトがいっぱい出てきます。

しかも、やはりそれは私にとって興味のあるサイトばかり。よくできているなあってつくづく感心してしまいます。

利用者の同意を得ていれば、こうした履歴データの活用は問題ありませんでした。

しかし18年以降、フェイスブックなどが個人へ十分に説明しないまま、大量のデータを外部と共有していた問題が相次ぎ発覚。代替技術に乗り換える企業が増えたんです。

クッキーを使わない広告

19年11月。就職情報を載せるニュースサイトに、IHIの企業広告が表示されました。

米スタートアップのガムガムが開発した人工知能(AI)がサイト内の画像や言葉を解析。「就活生向けの記事だ」と判断すれば、自動的に広告を流す仕組み。

クッキーなど個人データは原則使いません。IHI担当者は「一般的なクッキー広告よりクリック率も高い」と語ります。ガムガムの新型広告は、日本でも19年の顧客が約150社と前年比倍増しました。

英調査会社ゼニスによると、ターゲティング広告の世界市場は19年に前年比22%増え、初めて1千億ドル(約11兆円)を突破したそうです。

5年前の5倍に膨らみ、薄型テレビや市販薬の世界市場に並ぶ巨大産業に育ちました。

ネット広告全体に占める割合も約7割に及びます。

しかし、20年以降は前年比の伸び率が鈍る見通しです。

クッキー規制

世界的なクッキー規制の流れというものが背景にあります。

欧州は18年に一般データ保護規則(GDPR)を施行。

企業が広告会社などとクッキーをやり取りする際、個人からの同意取得を義務づけました。

日本や米国のほか、新興国でも規制が広がっています。

クッキーをうまく使えば、個人は関心のない広告を見ずに済み、企業も無駄な広告を減らせます。

でも使い方次第で、病歴などのプライバシーを侵害しかねない危険もありますよね。

活用法への視線が従来以上に厳しくなった形です。

クッキーが不要なアプリ広告や、既存の会員情報を販促に生かす新型広告も広がっています。

狙う広告が普及して10年程度。

技術革新は急速に進み、使う側の企業も選択眼が問われるようになっているんですね。

IT大手の方針転換の影響

IT(情報技術)大手の方針転換も大きいです。

米アップルは18年にプライバシー重視を打ち出し、閲覧ソフト「サファリ」で広告向けのクッキーは即時削除するようにしました。

グーグルも19年に「クローム」で、クッキーの追跡を防ぎやすくすると発表しました。

広告各社は閲覧ソフトのクッキーを使い、利用者の行動を捕捉しています。

閲覧ソフトの世界シェアが計8割に及ぶ2社が「クッキー断ち」を始めた影響は大きく、

「今後業界の淘汰が進む」(仏ネット広告大手、クリテオのJB・リュデル会長)との声は多いです。

ネット広告そのものはテレビCMを上回り、最大の広告媒体。

成長は続いていますが、専門家によると、クッキーを使う従来型の狙う広告は、

「法令順守への対応に多額の投資や新技術が求められる」

とのことです。

時代は確実に変わってきていますね。

働き方改革、クッキー改革、いろんな改革がどんどん起きるのは良いことです。

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