パパの育休制度、日本は世界有数 問題はパタハラ

男性が育児休業を取ることは、まだ当たり前とは言えない日本社会。「夫が育児休業を取って復帰したら、転勤の内示を受けた……」。一見すると、パタニティー(父性)ハラスメントともとられかねない問題が、今全国で起きています。女性の働き方にも大きな影響を与える男性の育児休業は、今後広がっていくのでしょうか。

そして、私も育休を取ろうと相談したところ、引き止められた者の一人です。ただ、私の場合はその時は理解ある上司だったので、「ちょっと、育休を取られてしまうと困るんだけども・・・」みたいな感じでしたので、それでも私が「取りたい!」と言えば取ることとなったと思います。今思えば取っておけばよかったなあと思っております。

■男性の育休取得率は微増にとどまる

厚生労働省が今月4日に発表した「平成30年度雇用均等基本調査(速報版)」によると、女性の育児休業取得率が82.2%(前年度比1.0ポイント低下)に対し、男性は6.16%(前年度比1.02ポイント上昇)。微増しているものの、男女差は依然大きな開きがあります。

一方、3歳未満の子供を持つ20~40歳代の男性社員のうち、育児休業を利用したかったが利用できなかった人の割合は約3割。育児休業を利用しない理由としては、「業務が繁忙で職場の人手が不足していた」(←私はまさにこれ)、「育児休業を取得しづらい雰囲気だった」など職場の要因が上位に挙げられ、希望と現実に大きな乖離(かいり)が生じている状況といえます(三菱UFJリサーチ&コンサルティング「平成29年度仕事と育児の両立に関する実態把握のための調査研究事業」)。

でも、それでも取れるのは法で定められているわけですから、

取れるか取れないかで言ったら、「取れる」んですよね。会社などの圧力や説得に負けて、「取らなかった」ってことになるんですよ結局。

男性の育児休業に関して、制度は十分に整っています。国連児童基金(ユニセフ)が今月13日に発表した報告書では、日本など41カ国の政府による2016年時点の子育て支援策について、給付金などの支給制度を持つ育児休業期間の長さでは、日本の制度は男性で1位の高評価を得ています(参考:女性は16位)。ところが、実際に取得する父親は非常に少ない、とその特異性が指摘されています。

これは勿体ないですよね。男性にとっては非常に恵まれている制度があるにもかかわらず、実際に取得する父親が少ないなんて勿体なさすぎますよね。

■男性が利用できる育児休業制度とは

「奥さんが専業主婦だと、育休は取れないんですよね?」

こんな質問を男性社員から受けたことがあります。会社の規定ではそうなっている、と言いますが……。かつては、配偶者が専業主婦(夫)の場合、労使協定によって育児休業を取らせないことは法律上可能でした。現在では、廃止されていますが、社内の規程が古いまま整備されていなかったりすると、誤解が生じてしまう原因にもなりかねません。最新の法律内容や社内規程は、ぜひ確認しておきたいところです。

育児休業は、1人の子に対して細切れに何度も取ることはできず、原則1回までとなります。しかし、男性の場合、産後8週間以内の期間に育児休業を取得したときは、特別な事情がなくても申し出により再度の育児休業取得が可能になる特例があります。これを「パパ休暇」といいます。

育児休業は、子が1歳(一定の場合は、最長で2歳)に達するまで、男女労働者の申し出により取得が可能となっています。父母ともに育児休業を取得する場合は、子が1歳2か月に達するまでの間の1年間、育児休業を取得することもできます※(これを「パパ・ママ育休プラス」といいます)。

※有期契約労働者は同一の事業主に1年以上雇用されているなどのルールあり

■「パパ休暇」
・通常、育児休業の取得は原則1回までですが、子の出生後、父親が8週間以内に育児休業を取得した場合には、特別な事情がなくても、再度、育児休業が取得できる制度です。
【要件】
(1)子の出生後8週間以内に育児休業を取得していること
(2)子の出生後8週間以内に育児休業が終了しているこ

■「パパ・ママ育休プラス」
・「パパ・ママ育休プラス」は、両親がともに育児休業をする場合に、以下の要件を満たした場合には、育児休業の対象となる子の年齢が、1歳2か月にまで延長される制度です。
【要件】
(1)配偶者が子が1歳に達するまでに育児休業を取得していること
(2)本人の育児休業開始予定日が、子の1歳の誕生日以前であること
(3)本人の育児休業開始予定日は、配偶者がしている育児休業の初日以降であること
・1人当たりの育休取得可能最大日数(産後休業含め1年間)は変わりません。

(厚生労働省の資料より)

育児休業中は、雇用保険制度から「育児休業給付金」の支給を受けることもできます。育休開始後の6カ月間は、休業開始時賃金(休業前6カ月の平均賃金)の67%、その後50%が最長で2歳まで対象となります。また、育休中は社会保険料の免除制度もあります。

育休を取らない場合でも、3歳未満の子を養育する労働者については、希望すれば短時間勤務の措置(1日原則6時間)を受けることもできますし、小学校就学前までの子が1人であれば年5日、2人以上であれば年10日を限度として、急な病気のときなどに子の看護休暇を取得することもできます。短時間勤務はしないまでも、残業の免除(3歳未満の子がいる場合は所定外労働、小学校就学未満の子がいる場合は1カ月24時間、年150時間まで)を申し出ることも可能です。こうした内容は法律上の規定であり、育児休業期間や短時間勤務制度の内容などは、会社によって優遇されている場合もあります。

このように、日本の育児に関する制度は世界的に見ても充実したラインアップが整っています。しかし、「育児は女性がやるもの」といった性別役割意識が根強いことや、人手不足で育休を取りたいと言い出しにくい職場環境などもあって、なかなか取得率は向上しません。

本当にくだらない気質というか、風潮が根付いていますよね。こういうところが私は本当に大嫌いです。自分の今の会社もそうです。そして公務員や昔ながらの企業にこそこのような風潮が強いと思います。

三菱UFJ銀行など一部の大企業では、男性行員に育児休業取得を義務化する流れも出てきています。また、有志の自民議連は男性の育休取得義務化に向けて、安倍晋三首相に提案書を渡すなど活発化する動きも見られます。育休の取得義務化については、中小企業での実施は厳しいとする声や専門家の意見も分かれるところですが、こうしたトピックスが取り上げられることで、注目度が高まることは男性にとって少なからず追い風といえるでしょう。

こうした中、育児休業や短時間勤務制度、子の看護休暇などを利用しようとする男性に対して嫌がらせや不利益な取り扱いをする、「パタニティーハラスメント」(パタハラ)が、新たな問題として注目されています。妊娠・出産を理由に職場で嫌がらせなどをする「マタニティーハラスメント」(マタハラ)については、問題であるとの理解がかなり浸透してきていますが、パタハラについては認識不足からくる言動が散見されます。

パタハラの典型的な例としては、育児休業などを利用しようとすると、上司が降格や減給をほのめかしたり、請求を取り下げるように言ったりすることや、同僚などが「休まれると迷惑だ」など発言し、繰り返し請求をしないようにいうことなどが挙げられます。単に「男が育休なんて」などと発言するだけでは該当しないものとされ、その労働者へ直接的な言動である場合にハラスメントに該当すると考えらえます。

以前から、育児休業や介護休業などを理由とする不利益取り扱いは禁止されていましたが、17年1月から育児・介護休業法が改正され、上司・同僚からの育児・介護休業などに関する言動により育児・介護休業者などの就業環境を害することがないよう、事業主として防止措置を講じることが義務づけられました。不用意な言動で人を傷つけたりすることがないように、日ごろからの言動に気をつけたいところです。

私は、育児休業給付金もまだまだ少ないと思いますし、もっと強固で手厚い制度に思い切ってすべきだと思います。そうでもしないとくだらない企業の体質や風潮は変わりませんし、企業は動きませんよ。国が率先してもっと思い切ったことをしていかないとだめだと思います。

また、法律では「その就業の場所の変更により就業しつつその子の養育又は家族の介護を行うことが困難となることとなる労働者がいるときは、当該労働者の子の養育又は家族の介護の状況に配慮しなければならない」と定めています(育児・介護休業法第26条)。配慮とは、必ずしも配置の変更をしないことや費用負担を軽減するための積極的な措置を講ずることを企業に求めているわけではありませんが、業務上の必要性はもとより、養育の状況を十分に把握するなど真摯な対応が求められます。

男性が育児休業を申し出ることに、「どうせわかってもらえない」という諦めや「家庭内の状況を会社に言うのは……」というためらいの声なども聞かれますが、会社の受け止め方も今後変わってくるのではないでしょうか。

一方で、「ただ休まれるだけでは、かえって負担」という女性の声があるのも事実。形ばかりの育児休業ではなく、育児でパートナーから頼りにされるために、日ごろから家事労働にどれだけコミットして家事能力を高めていくか、その協働姿勢が問われているのではないでしょうか。育児休業は、期間限定のものです。働きながら子育てを持続可能にするためには、長時間労働の削減はもちろん、リモートワークなどライフスタイルに合わせて柔軟な働き方ができることや、休暇が取りやすい職場環境であることも大切な要素といえるでしょう。

それからもちろん、労働者はもっと強気に出るべきなんです。先日のアシックス社員が会社をパタハラで訴えた事件もありましたが、あのくらいどんどん皆が声をあげていかないとだめなんです。

労働者は法律その他で守られていますので安心してください!取得で迷われている方、会社に負けず、頑張ってください。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です