テクニカルスキルとポータブルスキル 転職の際の強みとは

あなたの強みは何ですか。

即答できないビジネスパーソンも少なくありません。

働き方や職場環境が激変している今日のビジネス社会では、自分の強みを知っておくことはキャリアアップの必須条件。

数多くの転職者の相談にあたってきたパソナの岩下純子・常務執行役員に、自らの強みの見つけ方を聞いた記事がありましたので、今日はブログに書こうと思います。

ビジネスパーソンにとって、自分の強みを知ることがなぜ重要なのか

「大きく分けて3つの背景があります。まず、ここ数年で転職が一般的になり、転職者と同じ職場で働いたり、自らが中途採用で新たな会社に勤めたりすることが当たり前になってきました。従来の終身雇用システムでは、自分の強みが何か、自分がどのような人間なのかを、あえてアピールしなくても、おおよそ分かってもらえていた人が多かったのではないでしょうか」

「また、社内で皆が似たような教育を受けていたため、スキルが同質化され、社員間の違いが際立たなかった面もあります。こうした状況が転職の広がりによって一変し、転職時の入社面接はもちろん、人事考課の面談や新しいプロジェクトに挑戦したいときなど、自分の強みを積極的にアピールしなくてはならない場面が大幅に増えてきました」

パソナ 岩下純子常務執行役員

これは確かにそうですね。私の勤務先は、中途採用を始めたのが比較的最近なので、今までずっと居る社員は皆似てます。悪い意味で似ています。そして、突出して仕事ができる人というのはほとんど皆無。公務員的であり、皆同じようなレベルで尊敬できる人は少ないです。皆お友達みたいな感じなんです。

中途採用が増えてきて、確かに新しい風が入ってくるのは良いのですが、結局はつぶされてしまう、埋もれてしまう人がほとんどです。私もその一人。結局は、公務員的な私の勤務先は、変えようと思ってもそう簡単に変わらない現実に直面しています。

それで、結局、せっかく入ってきた良い人材も、また流出してしまうといった例も少なくありません。残念なことですよね。

さて、話は戻ります。

「第2に、人生100年時代の到来があげられます。寿命が延び、70歳代まで働くことが一般的になってきました。20歳代からキャリアが始まったとして70歳代まで働くと、通算のキャリア年数は50年以上。自分らしく、いきいきと長い期間働くためには、自身の強みを認識し、それを生かせる仕事を節目ごとに探す必要があります。

「これまでは、早ければ40歳代後半にはリタイア後の人生設計に思いをはせていた人もいたはずですが、今では40歳代は『キャリアの折り返し地点』でしかありません。長丁場のマラソンを走りきるためには、綿密なゲームプランが必要です」

これについては、自分の人生をどう考えるかです。私は今の勤務先については、50歳までに自分でネットで稼げるようになって早期退職しますが、転職を考えている方にとっては、重要なことでしょう。

「最後に、日本の産業界全体をとりまく環境の変化があります。グローバル展開が当たり前になり、事業も多様化している現在のビジネス環境では、スピードやイノベーションが重視されます。誰かの弱みを克服したり、補い合ったりしている時間的余裕はなく、強みを持った人間が集まり、イノベーションを起こし、プロジェクトを迅速に回していくという手法が重んじられるようになったことも背景のひとつでしょう」

確かにそうですね、時代はどんどん変わっていっています。旧態依然とした会社は淘汰されていく時代です。

誰にでも強みはある

――「自分には強みがない」と悩む人も多いのでは。

「非常に多いです。『自分には強みがないから転職できない』と決め込んでいる人も少なくありません。こうした場合、往々にして『強み』について誤解があるようです。1つめは『強み=性格』という誤解です。『明るい』『ハキハキしている』などの特徴は仕事上の強みとは切り離して考えるべきです。2つめは『テクニカルスキル=強み』という誤解です。英語力や特定のパソコン技能など、すぐには習得しにくいテクニカルスキルが乏しいがために『自分に強みがない』と悩む人が増えています」

「重要なのは仕事の経験によって得られ、業種や職種、環境が変化しても生かせる『ポータブルスキル』です。文字通り、個人が『持ち運びできる』スキルのことで、課題発見力、計画性、論理的思考、コミュニケーション力、チャレンジ精神など多岐にわたります。普通に仕事をしていれば、これらのスキルの幾つかは必ず身についているはずです。ですから『強みのないビジネスパーソンはいない』と考えています」

確かに、私の勤務先でも、資格を取れば良いと思っている人がいます。私は資格は手当を欲しいがためだけに取っています。今の勤務先に来てから3年以上経ちましたが、そのうちに5つは資格試験に合格して資格を取得しました。でもそれが何かのウリになるかなんて思っていません。

資格を取ったからウリになるわけではない

というのは、

良い大学を卒業したから、仕事ができるとは限らないっていう話

と似ていると思います。

 

――ポータブルスキルはどうやって見つければいいのでしょうか。

「しかし、『必ず誰にでもある』といわれても、自身が持つポータブルスキルを見つけるのは、なかなか容易なことではありません。そこで、パソナ独自の『棚卸しワークシート』を以下に用意しました」

「使い方は簡単です。『スキル編』は項目の中から『自分の強み』と感じるものをチェックするだけです。『自分には強みがない』と悩んでいる人でもいくつもあてはまる項目があるはずです」

「一概にはいえませんが、職種ごとに身につきやすいスキルの例を次にリストアップしました。参考にしてください」

【事務】 責任感、正確性、継続力、計画力
【エンジニア】 計画力、課題発見力、責任感、実行力
【企画】 計画力、変化対応力、主体性、論理的思考

「次に、自分で挙げた強みに説得力を持たせるために、以下のワークシート『キャリア編』を活用してください。繰り返しになりますが、ポータブルスキルは仕事を通じて得た強みですので、仕事上の経験でそれを裏打ちする必要があります。このシートはその作業を円滑にするためのものです」

「シート中の『強み』は、自分が一番アピールしたいスキル、もしくは自分への評価が一番高かったときに発揮したスキルを選びます。1つだけでも結構ですが、普通に働いていると意外と幾つも見つかるので、できれば3つぐらいは埋めたいところです」

「WHATの部分には、自分が強みを発揮したときのエピソードをできるだけ具体的に書いてください。このパートは自己PRの際に一番大事な部分で、いかに具体的に話せるかがポイントとなります。自分の強みについて、具体的なエピソードを交えて話せれば、転職の面談でも力強いアピールになります。WHYの部分は、自分が何に面白み、やりがいを感じるか、自身にとっての『気づき』に生かしてください」

定期的なキャリアの棚卸しを

――自分の強みを認識した後は何をすべきでしょうか。

「経験は日々アップデートしていくので、定期的な『キャリアの棚卸し』が必要です。年末年始や異動や昇格のタイミングなど、年1回は2つのシートを活用して自身のキャリアを振り返ることをお勧めします。棚卸しした内容を毎回保存しておけば、転職する際の職務経歴書や人事考課の際の資料が比較的簡単に作れるはずです。一番大切なことはキャリアに『正解』は無いということです。キャリアは十人十色で、それぞれの経験から培われる『強み』もまた人によって異なります。あくまで、自分らしくやりがいを持って働き続けるためのツールとして、自身の強みを認識しておいてほしいと思います」

岩下純子氏
パソナ常務執行役員。1997年慶大理工卒、大手通信会社に入社。結婚を機に退職。専業主婦、派遣社員を経て2003年にパソナ入社。転職支援サービスの企業向けの営業、個人向けキャリアアドバイザー、エグゼクティブの転職支援グループの立ち上げなど手がけた後、2018年常務執行役員。現在は、女性社員向けの採用・研修を中心とした法人向けコンサルティング、女性向けキャリアセミナーの運営などを担当。1児の母。

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