目次
はじめに
カーシェアが市民権を得つつあります。
車を所有せず、使いたい時にだけ気軽に借りることができる便利なサービスです。
私も利用していますが非常に便利でコスパも良いサービス。
駐車場最大手パーク24のグループ会社であるタイムズモビリティ、カーシェアリングに力を入れています。
レンタカーとカーシェアの良い部分を組み合わせた「タイムズカー」のトライアルを実施した後、昨年10月には料金体系を発表するなど、本格展開に向けた動きを活発化させています。
立ち上げ時の苦悩
最初は、「カーシェアリング」という言葉も一般的ではなかったため、カーシェアリングの立ち上げを担当していたメンバーは試行錯誤の連続で、とても苦労していました。
近隣の状況から利用を見込んで車両を設置し、仮説通りの利用があればその周辺にもさらに設置したり、見込み違いで全く利用されない場合にはその理由を検証したりして、車両の設置場所に関する知見を集め、それを他のエリアにも展開するというように広げていっていました。
また、駐車場とカーシェアリングの大きな違いは、駐車場は「目的地」近くにあるのに対し、カーシェアリングは「出発地」の近くにあるという点です。
そのため、生活動線上にカーシェアリングステーションがある、ということを認知してもらうことが重要だと考え、目に付きやすいようカーシェアリング車両が設置されている駐車場にのぼりを数多く付けました。
また、利用方法も知られていなかったため、全国各地の駐車場や商業施設で説明会を開催し、利用方法のご説明や質問に対する回答を行うとともに、時には車両を展示して利用体験の場も提供しました。
車両配備とともにこうした取り組みを進めていった結果、会員数が増えていきました。
現在利用できる車の種類
現在、カーシェアリングで提供している車種は30です。
どなたでもお使いいただきやすいようコンパクトカーが中心となっていますが、商用車や輸入車、ミニバンといった車も少しはラインナップしています。
私は大体、フィットやスイフトを利用していますが、色々な車を使ってみたいです。
いつも同じ車種のほうが安心して運転できるという方もいれば、気分に応じて車種を変えたいという方もいて、客のニーズは様々。
タイムズ側は、お客様の利用シーンに応じた車をご用意することで利便性を向上させていきたいと考えています。
今後の成長性と成功のカギは
カーシェア市場は日本でまだまだ拡大が続くと考えられております。
若者の車離れ、いや、車所有離れもカーシェアの利用を加速するでしょう。
車の使われ方は、短い時間や長い時間、家の近くや旅行先などでというように、さまざまです。
このような多様なニーズに対してどういうサービスを供給できるかということに、成功のカギがあるでしょう。
タイムズとしては、今後はすべてのタイムズパーキングにタイムズカーシェアを設置する予定
割引クーポンなどは?
カーシェアの普及には低価格化も重要です
カーシェリングを利用される会員様に行き先を提案し、実際にその場所に行っていただければ特別サービスを受けられるといった仕組みを用意することにより、会員様、連携施設それぞれにメリットを提供しています。
カーシェアリングの便利さはもちろん、利用する楽しさのようなことも体験することがさらなる普及にもつながるとタイムズは考えています。
一方で、タイムズは以前から「たのしい街」というエリアプロモーションサービスを展開していて、駐車場のユーザーに利用エリアの店舗情報や施設情報などを提供しています。
この枠組みを活用し、例えばカーシェアの利用者に近くの店舗のクーポンなどを発行するような仕組みができないか、なども考えています。
訪日需要への対応は
外国からの旅行者に向けたサービスは、国内向けのシェアリングやレンタカーとは別の設計が必要になってきます。
インバウンド向けはレンタカーのみの展開ですが、訪日外国人の方の利用は非常に増えています。これからも増えていくでしょう。ここ数年はその取り組みを強化してきています。
一方で最近はリピーターの方も増えてきています。
そういった方にとっては、「素早く借りて素早く返せる」ということが価値になるでしょう。
空港におけるカーシェアの普及状況
世界の空港と比べると日本の場合、カーシェアやレンタカーの活用は少ないのが現状です。
空港によっては車の貸し出しカウンターが空港の中にないところもあります。
一方で海外ですと、レンタカーやカーシェアリングが交通インフラの一部として非常に身近です。
ただ最近は日本でも空港の民営化などにより、ユーザーの利便性を考えて空港の価値を上げていく取り組みが進んでいます。
カーシェアサービスにおける乗り捨て利用の可能性
私もこれができたら非常に便利で、ますますカーシェアが広がると思うのですが、日本ではまだ「乗り捨て型」のカーシェアは普及していません。今後広がる可能性はあるのでしょうか。
例えばドイツでは乗り捨て自由なカーシェアリング事業者がいくつかあり、行政とタイアップしてサービスを提供しています。
空港に行くと100台くらいカーシェア車両があって、予約なしで空いている車を利用して、特定エリア内の乗り捨てOKな場所なら乗り捨てが可能です。
さすが車王国ドイツですね。
利便性を追求するとこのようなサービスが究極ですが、ビジネスモデルとしてきちんと成立するのかという部分はまだまだ日本は課題です。
その課題とは需要が偏ってしまうというもの。
朝の時間帯は郊外から市街地に集まり、夕方以降は郊外に出ていく流れがどうしても発生します。
その点、空港と市街地は出入りの車のバランスが合いやすいので、現在はタイムズも空港に限定してワンウェイ利用可能なステーションを設置しています。
カーシェアと自動運転の関わり
今後は自動運転も当たり前になって来ます。カーシェアサービスで自動運転が活用できそうなシーンはあるのでしょうか。
すぐに実現できそうな部分で言えば、やはり空港のレンタカー拠点での車両移動です。
空港の営業拠点は敷地が広いため車両の回配送だけでも非常に手間がかかる部分です。
例えば新千歳空港では約9000坪の敷地で2000台ほどを運営していますので、敷地内で車両が勝手に戻ってくるだけでも非常に価値があります。
レンタカー用の在庫車両を融通し、需要に対応
タイムズは、レンタカーとカーシェアの強みを融合した新しいモビリティサービスとして「タイムズカー」を開始しています。
カーシェアを使われる方が増えるに伴い、「予約の取りづらさ」が課題の一つとなっていました。
現在の会員構成比は、個人対法人でおおよそ6対4となっています。
休日は個人会員の利用が多く、使いたい日にちや時間帯が重なってしまい、「使いたいのに予約できる車がなく、使うことができない」という声があります。
配備車両を増やすことで対応してはいるものの、間に合わないところもあります。
その課題を解決するため、レンタカー用の車両を融通して、カーシェアとして利用できるようにしました。
タイムズカーの大きな特徴は、カーシェアリングステーションに配備されている車両が予約あるいは貸し出し済みとなっていても、レンタカー用の在庫車両を融通することにより、さらなる予約にも対応できる点。
また、これによりチャイルドシートやスタッドレスタイヤの装着といったオプションサービスの対応も可能となりました。
今後は、取り扱い車種数を増やすことも検討しています。
展開状況
2019年1月に東京都内2カ所でトライアルを開始。その後、5月に1カ所増。
トライアルの段階では、タイムズカーシェアの料金体系に基づいて展開していましたが、将来的にレンタカーもカーシェアリングもタイムズカーに集約していくことを前提に、新しい料金体系を策定し、10月から新料金体系での運用となっています。
展開箇所数も、241カ所まで拡大しています(2019年11月15日現在)。
利用者からは
「カーシェアリングのステーションがないエリアでも利用できるようになったのは便利」
「近隣のカーシェアリングステーションが予約で埋まっている時、これまでは遠いカーシェアリングステーションまで借りにいっていたが、近隣にタイムズカーの拠点ができ予約しやすくなった」
といった声があがっています。
今後の展望
サービスのメッシュを細かくしてさらにお客様の身近で提供するという取り組みとして、「B」という駐車場シェアリングサービスを利用する仕組みがあります。
「B」は駐車場を貸したい方と利用したい方をマッチングするサービスですが、カーシェア車両の置き場所としても活用できるとタイムズは考えています。
設備投資が必要なく、自宅の駐車場なども登録することができるので、さらにメッシュを細かくして行けます。
そこに、客のニーズに合わせて車両をデリバリーする仕組みなども組み合わせれば、さらに利便性が高まります。
これまで、長期間の時はレンタカー、短期間の場合はカーシェアといったように、客が用途に応じてサービスを使い分けていました。
「タイムズカー」であれば、そういった使い分けが不要になります。
サービス拠点と車両数を拡大し、サービスの充実を図り、より快適で便利な移動環境を実現してほしいですね。
私は株主でもあるので、心から応援しています!
コメントを残す