はじめに
生産性を巡る議論が熱を帯びています。
働き方改革のおかげで、定時での退社を促す傾向も強まってきました。あなたの勤務先はどうですか?
みんな目を覚ませ!って感じですよね本当に。どれだけ残業が全く良いことが無いか分からない人が多すぎます。
ただ、『アウトプットがすごい人の時短のキホン』(すばる舎)を書いた各務晶久氏は、「表面的な勤務時間の短縮は生産性アップにつながりにくい」と「名ばかり改革」の効果を疑っています。
今日は各務さんの著書をご紹介しながら、生産性についてお話ししていこうと思います。
生産性とは?
そもそも、改めて、生産性って何でしょう?
生産性にはいろいろなものがありますが、よく言われているのが、いわゆる、「労働生産性」のことです。
そして、その労働生産性というのが、
「労働投入量1単位当たりの産出量・産出額」として表され、
労働者1人当たり、あるいは労働1時間当たりでどれだけ成果を生み出したかを示すものです。
「労働生産性が向上する」ということは、同じ労働量でより多くの生産物をつくりだしたか、より少ない労働量でこれまでと同じ量の生産物をつくりだしたことを意味します。
見せかけの労働時間減らし
しかし、各務さんは、この生産性について、「仕事量÷勤務時間=生産性」の割り算だと考えることに疑問を呈しています。
各務氏は
「そもそもこの割り算の立て方がおかしい!」
と指摘しているんです。
間違っている項は、
「仕事量」
だといいます。
「仕事量を割るのではなく、成果を割るべきだ。仕事量をものさしにしてしまうと、だらだらと机に向かって成果が出ない無駄働きを助長しかねない」
とのこと。
企業側が全社員にお触れを出して
「一律20%の残業カット」
といった数値目標に従わせる対応にも、
「持ち帰り残業を増やすだけで、かえって過剰労働を見えづらくしてしまいがち」
と否定的な立場。
「内実を伴わない、見せかけの労働時間減らしは働き手をかえってくたびれさせてしまう」
とみています。
働き手の側にも陥りがちな考え方の誤りがあるといいます。
「もっと手を早く動かせばとか、もう少し仕事に慣れてきたらという具合に自分の頑張り不足や習熟度不足を能率が上がらない理由にする人は珍しくない。でも何カ月か先に格段のペースアップが見込めるかといえば、そうではない。単純な習熟度だけで大差は出にくい」
と抱え込み体質を危ぶんでいます。
重要な「引き受ける前」の算段
ただ、現実にキビキビこなすハイパフォーマーは存在するのが事実。
一方では仕事が終わらず、消耗している同僚もいます。
その違いはどこにあるのでしょう。
各務氏は、
「仕事を引き受ける前の算段が違う」
とみています。
ポイントになるのは、上司との接し方。
「あいまいな指示で引き受けてしまうと後になって『頼んだ意図とずれている』と上司から差し戻されてしまい、結果的に無駄手間が増えやすい」
と、引き受ける段階での「前さばき」を重視しています。
これは本当にそうですね。
仕事を引き受けたときに、何度も質問をすると上司に悪いような気がして分かっていないのに分かったふりをして仕事を引き受けると、
結局あとになって、余計に迷惑がかかるだけなんです。
仕事を引き受ける時に、質問するのはいくらあってもいいです。
仕事を引き受ける時に沢山質問したことで、なんか言ってくる上司がいたら、間違いなくクソなので、その際は喧嘩するぐらいの気持ちでいいです。
埒が明かない場合は、コンプラか何かに言っちゃいましょう。
あなたは間違っていないんですから。
各務氏も、
望ましい引き受け方は、
「ややしつこいぐらいに仕事のイメージを質問して、出来上がりイメージを上司とすり合わせる。そのうえで仕事に取りかかる」
という、入り口で手間を惜しまない態度なんです。
上司から面倒なやつと思われないか心配になりそうですが、先ほども少し言いましたが、
後になって期待外れの成果物を提出するほうが評価が下がりますし、迷惑がかかります。
最初に質問しまくるのは上司のためでもあります。
まじめな人柄の部下ほど上司の指示に口を挟むべきではないと思い込みやすいもの。
余計な質問をしないですぐに引き受けるのが、好印象を得るコツだと信じている部下もいまだに少なくないようです。
「従順すぎる部下」からの卒業
「ハイパフォーマーは質問をためらわない」
と各務氏は仕事のできる人の特徴を言い表しています。
自信がない人は、上司から仕事を命じられるとしばしば黙って引き受けてしまいます。
だめな例は、レスポンスの悪さが上司の不満につながると心配するあまり、安請け合いになりがちな人。
一方、良い例であるハイパフォーマーは、質問を触媒に使って、上司にその仕事の必要性、優先順位、タイムリミットなどをあらためて考えさせているんです。
「新しい仕事の締め切りはいつまでですか」。
この問いを投げかけるだけで上司の応じ方が変わってくるといいます。
部下が業務の優先順位を決めたがっていると感じた上司は、
「急ぎか否か」
「この部下が最適任かどうか」
などを再検討し始めます。
考えを巡らした末に締め切り日を伝えたり、アサインを引っ込めたりします。
「質問抜きで引き受けるより上司との交渉からたくさんの情報を引き出せるから、黙って唯々諾々と引き受けないほうが賢明」
と、各務氏は「従順すぎる部下」からの卒業を促しています。
上意下達式の社風が根強い企業では、上司に逆らうかのような問い返しにおじけてしまいやすくなります。
しかし、各務氏は、
「命じられた仕事をこなすだけの部下に見えてしまうと、成果も評価されにくくなる」
と、「都合のいい部下」のポジションに甘んじることのリスクを示しています。
ずっと受け身の我慢を続けていると、不満がたまってくじけてしまうおそれもあります。
余計な追加仕事を振られたら
生産性を高めたいなら成果を出せる仕事を優先的にこなすほうが合理的な選択。
「勤め先や上司が求めているのは、長時間、机に向かっているポーズではない」
と、「仕事をちゃんと選ぶ部下」へのバージョンアップを勧めています。
もはや、
「働いているふり」
は通用しない現在。
「成果の出にくい仕事ばかりを押しつけられ、生産性の低い立場を引き受け続ければ、出世にも響きかねない」
と各務氏は「働き損」のリスクを警告しています。
昨今の転職では、成果のリポートを求められることが多いです。
自らがチームの柱となり、プロジェクトを遂行した実績が採用側のものさしとなっているからです。
「進んで仕事を取りにいく姿勢をみせないと手柄を立てるチャンスは巡ってこない。成果の出にくい仕事を引き受けすぎて、常にスケジュールが窮屈だと、魅力的なプロジェクトに手を挙げる余裕が失われてしまう。ハイパフォーマーは目立つ仕事、結果の評価されやすい仕事を選び取って、さらに次の仕事を任されやすいポジションをつくっている」
と、各務氏は社内での戦略的な立ち回りのメリットを説いています。
仕事の前さばきが重要な理由の一つは、
「取り組むべき仕事に集中して打ち込めるから」。
いくつもの仕事を「雑務」的に引き受けていると、時間と手間がかさんで、エネルギーを注ぎ込みにくくなるのです。
働き手個人にとっても、「選択と集中」は勝利の方程式。
余計な追加の仕事が降ってこないよう、上司との間では優先順位と稼働状況を共有し、納品時期を確認しておくのが賢い立ち回り方になります。
「集中できる環境は部下が自らプロデュースしないと、待っていても用意してもらいにくい」
と各務氏は語ります。
労働ノウハウの共有を
今になってホワイトカラーの労働生産性が低いと指摘される背景には、
「労働ノウハウの共有が進んでこなかった事情がある」
と各務氏は感じています。
工場労働者に代表されるブルーカラーの間では、QC(品質管理)サークルのような形で知見を磨き合う仕組みが育ちました。
しかし、
「日本企業のホワイトカラーは多くが自己流で、ノウハウの蓄積が進まなかった」
と各務氏。
たまたま入社した勤め先、配属された部署、出会った先輩・上司次第で、部下の習得できるスキルが限られてしまう「運任せ」の状況が続いているのです。
そして、成長を実感できなかった若手が離職してしまう一因ともなっているんです。
成長を実感できないと言うのは思った以上に大きなダメージですよ。
私は今の職場がそうです。
誰でもできるような仕事ばかりで、かといって、手に職が付くわけでもない。
今の「課」がというほうが正しいのかもしれないですが。
なので私は、今の勤務先以外の場所に少しでも成長する場を求めてこうしてブログを書いたり、色々とチャレンジしています。
ハイパフォーマーを調べてみると、多くの人は、
「ビジネス書をちゃんと読んでいる」
そうです。
今の勤め先からでは得られない知見を自ら補って、職場に臨むだけでも、学ぼうとしない人たちとは明らかに差がつきます。
時短で浮いた時間をセミナーや研修での学びに投資するので、さらにパフォーマンスが抜き出ます。
仕事を通じた自己実現や社会貢献を意識している人は、『仕事から解放された。さぁ、遊ぼう』とはあまり考えません。
ひとつながりの時間をしなやかに生かしています。
「仕事とプライベートを切り分けるワーク・ライフ・バランス思考とは別物」
と、各務氏はハイパフォーマーの成長プロセスを分析しています。
確かに私もそうです。
もちろん、自分はまだ一般的にハイパフォーマーだなどとはこれっぽっちも思っていません。
ただ、何も考えずにただ働いている私の勤務先の人たちよりは間違いなく、ハイパフォーマーである自負があります。
ブログなどを始めてから、あまりゆっくりしている記憶がありません。
昨年の5月1日から始めたのでずっとそんな感じです。
でもまだまだ努力が足りなすぎると思っています。
今の勤務先だけでの比較ではない、本当のハイパフォーマーになれるよう努力します。
どんな部署に配属され、どんな上司につくかは部下が自分では決めようがありません。
しかし、評判のよいビジネス書を選ぶことは自分の才覚だけで可能。運はいりません。
「アウトプットがすごい人はほとんど、自己流だけに頼らず、書籍を通じた学びを重ねている。勤め先が自分を成長させてくれるのを受け身で待つより、学びを手がかりに自ら成長するほうがずっと効率的で確実」
と、各務氏は書籍を介したハイパフォーマーの仲間入りを勧めています。
私も同じように考えているので、すごくモチベーションが上がりました。ぜひ、あなたも各務さんのこの本、読んでみてください。
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