風邪は受診の必要なし 一番早く治す方法

 今までに1回も風邪をひいたことがないという人はいないでしょう。風邪は誰でも引くもので、ありふれた病気の一つです。多くは数日から1週間程度で自然に治ってしまいます。人間には自然治癒能力がありますからね。なので、本当は風邪薬なんて必要ないんですよ。市販のはもちろんですが、病院からもらう薬も本当は要らないんです。飲まなくても治るんです。

今日は、風邪に詳しい総合診療医・感染症医で北海道科学大学薬学部客員教授の岸田直樹さんにインタビューした記事がありましたので、ご紹介しようと思います。

         

 上気道とは気道の上の部分に当たる鼻、のどのこと。ここにウイルスが感染することで風邪を発症する。ただ、先ほども述べましたが、「自然に良くなる」病気であることに注目してほしい。薬などを飲まなくても、放っておいてもやがて治ってしまうことを意味する。つまり、本当に風邪であれば、わざわざ医療機関を受診する必要はないわけですね。

上気道とは気道の上の部分、つまり鼻、のどのこと

風邪のとき、「病院に行っても意味がない」

 日本人の風邪にまつわる誤解はたくさんありますが、中でも一番は「病院に行ったほうがいいと思っている」ことだと岸田さんは指摘します。

 「ライノウイルスやコロナウイルスをはじめ、風邪の原因となるウイルスは200種類以上あります。そのすべてのウイルスに効く薬はありませんから、本当の意味で“風邪を治す薬”は存在しません。もともと自然に治る病気なので、病院やクリニックに行く必要もありません。むしろ体調が悪い中で何時間も待たされるだけでなく、他の患者さんから別の感染症をうつされるリスクがあります」

 一般に風邪薬と呼ばれる薬は対症療法の薬。「熱を下げる」「鼻水を止める」などの症状を抑える作用があるだけで、風邪の原因であるウイルスを殺すわけではありません。抗生物質(抗菌薬)は細菌を殺しますが、ウイルスには効果が全くありません。症状がつらいときは対症療法の薬を飲むのもいいですが、それなら薬局やドラッグストアで市販薬を買えば済む、というわけなんですね。

まずは風邪の3症状をチェックする

 ただし、健康な大人が医療機関を受診する必要がないのは“本物の風邪”の場合。風邪のような症状であっても実は深刻な病気だったということもあります。風邪がきっかけで肺炎などを起こすこともあります。いわゆる「風邪をこじらせる」という現象で、風邪のウイルスによってダメージを受けて免疫力が落ち細菌感染するわけです。

 では、風邪かそうでないかをどうすれば判断できるのでしょうか。

 岸田さんは「3症状チェック」を挙げています。3症状とは、

「咳(せき)」

「鼻水」

「のどの痛み(嚥下時痛)」

どの症状が強いかはそのときどきで変わることがありますが、本物の風邪であれば多かれ少なかれ、この3症状が表れるといいます。

「48時間以内に3症状がそろえば、ほぼ風邪と考えていいでしょう」と岸田さんは言います。写真はイメージ=(c)PaylessImages-123RF

 「最初は一つの症状しか出ないこともありますが、48時間以内にこの3症状がそろってくれば風邪と考えていいでしょう。特に鼻水がメインの症状の場合、命に関わる重大な病気ということはほとんどありません」とのこと。

風邪への対処法~汗をかいても治るわけではない

 では、咳、鼻水、のどの痛みがあり、風邪の可能性が高いとき、どう対処するべきなのでしょうか。前述したように、市販薬であれ処方薬であれ、風邪には症状を抑える対症療法の薬しかありません。また、本物の風邪であれば医療機関にも行く必要はありません。すると、おとなしく布団に入っていればいいのでしょうか。

 症状が軽ければ「必ずしも寝込む必要はありません」と岸田さんは話します。

 「こじらせないようにするため体に負担をかけないよう注意すべきですが、マスクをして、風邪を広めないように注意しながら仕事をしたって構いません。ただし、熱が38℃近くある、だるい、といったときは仕事を休んで寝ているほうがいいでしょう。症状が重い場合、ウイルスを大量にばらまくことになるので、人にうつさないためにも外出は控えてください」

 風邪をひいたとき、普段より布団を多くして「汗をかくと治る」と思っている人も少なくないでしょう。私もこれはすごく信じていて、熱い風呂に長時間入っていたりします。眠っているとき汗をかくと、熱が下がり体調が良くなった気もします。しかし、これは岸田さんによると気のせいだそう。汗をかくと気化熱によって体温が下がるのは確かですが、熱が下がったからといってウイルスが死ぬわけではないんですね。

 ただし、「風邪のように根本から治す薬がない病気では症状緩和にプラセボ(偽薬)効果は大きいので、一概に否定はしません」と語る岸田さん。プラセボとは、何の効果もない食品などでも「病気に効く」と信じて飲むと薬のような効果を発揮すること。ガンガンに暖房をかけるなど、極端なことさえしなければ、布団の中で汗をかいても問題ないといいます。「もちろん、無理に汗をガンガンかかせる必要はないですが、寒いときには布団をかけ、熱が上がって体が熱くなったらタオルケットにするなどでよいでしょう」

風邪に効くサプリメントはある?

 食欲がなければ無理に食事をしなくてもいいですが、水分補給は心がけましょう。風邪で熱が出ているときは、不感蒸泄(ふかんじょうせつ)といって、熱に伴い汗として出てくる水分が多くなるので、多めに水分を取るようにしましょう。水分を取らないと腎臓に負担がかかり、腎不全の危険も出てくるといいます。

 ただし、カフェインには利尿作用があるので、コーヒーや緑茶を大量に飲むと脱水を進めてしまいます。これは注意ですね。ただ、咳が止まらなくてつらい場合などは、コーヒーには咳を鎮める効果がありますのでその点は効果的でしょう。

 「もっとも、毎日何杯もコーヒーを飲んでいる人が急にやめると、カフェインの離脱症状で頭痛が起こるなど逆効果になることもあります。」

私も数か月前からカフェインをやめましたが、油断して煎茶を沢山飲んだことがあるのですが、そのあとダルくてダルくて仕方無くなりました。カフェインって怖いなあってその時思いましたよ。

「アルコールは分解に水が使われるので脱水になりやすいうえ、眠りの質も悪くします。もっとも、タマゴ酒のように少量のアルコールであれば、体を温める効果もあっていいと思います。大事なのは風邪だからといって“極端な行動を取らない”ことです」

 風邪には有効な根治薬が存在しませんが、一方で亜鉛やビタミンCなどのサプリメントが風邪に効くという話もときどき耳にします。しかし、これについても岸田さんは否定的。

 「特定のビタミンや栄養素で最も研究が多いのはビタミンCですが、いまだに明確な質の高いエビデンス(科学的根拠)は出ていません。プラセボ効果はあると思いますが、私が患者さんに勧めることはありませんね」とのこと。これは意外ですね・・・。

基本は「おとなしく寝ている」こと

 以下、岸田さんによる「風邪の対処法」をまとめさせて頂きます。

 まずは、風邪の3症状である「咳」「鼻水」「のどの痛み」をチェック。この3つの症状がそろっていれば、ほぼ風邪だと考えていいとのこと。熱があって起きているのがつらければ、同僚にうつさないためにも会社を休んで寝ていましょう。言うまでもなく、「人にうつすと早く治る」というのも迷信にすぎません。

 室温は快適な気温に。寒ければ暖かくするべきですが、汗をかくほど室温を上げても風邪が早く治るわけではないそうです。

熱があるときは、多めに水分を取るよう心がけよう。
写真はイメージ=(c)PaylessImages-123RF

 食事は消化に良いものを心がけていつも通りでいいし、食欲がなければ無理に食べる必要はない。ただし、熱がある場合、水分補給は忘れないようにしましょう。そしてコーヒーやアルコールは控えめに。

 のどの粘膜を刺激するので、タバコも吸わないに越したことはありませんね。

 入浴は「体温をワンランク上げ、だるさが強くなることもあるので長風呂はいけませんが、短時間の入浴やシャワーなら構いません。むしろ汗だくのままでいると不潔ですので、調子の良いときにシャワーで汗を流しましょう」と岸田さんは話します。

これも意外でしたね。熱い長風呂で早く治ると思い込んでいました・・・。改めます。

 あとは、おとなしく寝ているだけでいいそうです。通常の風邪なら2~3日程度で自然に治るそうです。ここで、動物の例を考えて見てください。動物が病にかかるとひたすら動かず、食べず、ひたすら寝るんです。つまり、それが一番早く治る方法ってことなんですね。人間も同じ動物。これが一番ってことなのでしょう。

 

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