紙社会はもうやめよう システム化のメリット みずほ STEPS→MINORIのご紹介

みずほフィナンシャルグループ(FG)が開発の本格化から8年、4000億円超を投じた新たな勘定系システム「MINORI(ミノリ)」への移行が7月に完了しました。MINORIが稼働することで、みずほ銀行の営業店は大きく姿を変えることになります。利用者が紙の伝票(依頼書)を書く机や、伝票を従業員が受け取るハイカウンター、その後ろで営業店端末を操作する事務系職員が店舗から姿を消していきます。営業店は従来の事務拠点から、本当の意味での営業拠点へと変わります。仕事場に人が不要になる時代へのカウントダウンは始まっていますね。

■営業店改革、いよいよ開始

銀行の事務フローは勘定系に依存しています。老朽化していた旧第一勧業銀行の勘定系システム「STEPS(ステップス)」を刷新できなかったこれまでは、1980年代に設計された非効率的な古い事務フローが現場にそのまま残っていました。特に問題だったのが、営業店で受けた申し込みに関する事務についてはその営業店で処理する必要があったこと。

STEPSは顧客情報の管理が店単位だったため、顧客に関連する様々な処理を口座のある店舗の営業店端末で処理する必要がありました。一部の事務に関しては、他店からも処理できましたが、その場合は端末を他店の「代行店モード」にいちいち切り替えなければならず効率が悪かったんです。

事務センターで処理する場合も同じでした。事務センターの職員はA店に口座がある顧客の事務を処理する際には端末をA店のモードに、B店の口座なら端末をB店のモードに切り替える必要がありました。結局、店舗の事務処理はその店舗で済ませるのが最も効率的でした。そのためみずほ銀行の営業店で多くの事務系職員が働いていました。

今回のMINORIの顧客情報管理は全店共通。営業店でも事務センターでもどこであっても、顧客の事務を同じように処理できます。「事務の多くを店舗からセンターに集約できる」。みずほFGの石井哲取締役執行役専務はそう語っています。

最高情報責任者(CIO)を務めるみずほフィナンシャルグループの石井哲取締役執行役専務(写真:北山宏一)

最高情報責任者(CIO)を務めるみずほフィナンシャルグループの石井哲取締役執行役専務(写真:北山宏一)

同社が「特定職」と呼ぶ事務系職員の多くは、営業店から事務センターに異動することになります。事務系職員がいなくなった店内のスペースには、個人客にみずほ信託銀行やみずほ証券の金融商品を勧めるコーナーや、法人顧客と打ち合わせするコーナーを設けます。それがみずほ銀行のいう「次世代型店舗」の姿。

営業職や管理職の業務フローもスムーズになります。例えば従来は、電子稟議(りんぎ)システムと勘定系が連動していませんでした。融資などについて部店長がシステムで決裁すると、部下がその内容を紙の「実行票」に記入して、営業店端末を操作する事務系職員に登録を依頼していました。それが今後は決裁データがそのまま勘定系に送られます。紙を書いたり端末を操作したりする必要はありません。

うちの会社はいまだに紙が大好き。ハンコ社会万歳な時代遅れな会社です。本当にあきれるほど公務員的な会社。むしろ公務員以上に公務員的な会社です。稟議書を持ってお偉方に決裁をもらうために、いるかいないか探したり、今行っていいかどうかタイミングをうかがったりするのが本当に無駄な労力です。それをやることでなんかアピールなんですかね。あなたの会社はどうですか?

ちなみにですが、ハンコといえば、IT推進大臣に任命されたのがハンコ界のボスだってことで炎上しましたよね。

https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_5d7b46b3e4b077dcbd5bc5c2

共栄とか言っていますが、正直、IT推進、期待できるわけがありません。

■やっとペーパーレスへ

「完全なペーパーレスも図る」と石井執行役専務。顧客は伝票に記入するのではなく、店頭にあるタブレットを使って必要情報を入力。申し込んだ内容はそのままMINORIに送信され、そこで処理されます。

実はこれまでも一部の店頭にタブレットを置いていました。しかし顧客が入力した内容はいったん紙の伝票に印刷していました。電子と紙のハイブリッド状態ですね。伝票にはQRコードがついていて、営業店端末につなげたスキャナーで読み取ると情報が端末に取り込まれ、それでようやく勘定系に入力できました。今後は顧客が入力した情報はAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を介してMINORIに直接送ります。

STEPSの頃は紙でしか内容を確認できなかった「還元計表」なども、端末でデータとして見られるようになります。STEPSを設計した80年代当時はディスクの容量が限られていたため、紙に印刷した計表のデータはディスクから削除していました。みずほ銀行から80年代のしがらみがようやく消える形になります。

■アプリ開発コスト3割削減

みずほFGはMINORIの導入によって、今後アプリケーションを開発するコストを3割程度削減できると見込んでいる。

これはでかいですね。コストという名のお金以外に、時間というなのコスト削減にもつながるでしょう。

 MINORIはアプリケーションをコンポーネント化(部品化)することで保守性を高める「サービス指向アーキテクチャー(SOA)」を採用することでシステムを疎結合にしました。これによって金融系のシステム開発で最もコストがかかるテストの範囲を限定できるようになりました。テストにかかる工数を大幅に削減できることから、全体で3割のコスト削減ができると計算しています。

 従来のSTEPSは勘定系に必要な全てのコンポーネントが一体化したモノリシックな構造だったため、わずかな変更であってもシステム全体をテストする必要がありました。

 石井執行役専務によれば、実際に成果が上がっているといいます。2019年5月、既にMINORIに移行済みのみずほ銀行において、全国銀行データ通信システム(全銀システム)の24時間365日対応、改元対応、10連休への対応を一気に実施したところ、従来に比べて開発コストを3割以上抑えられたといいます。

 MINORIを使う開発案件が増えるほど、投資費用は回収しやすくなります。そのための仕掛けも20年度に完成します。MINORIに追加するグループ向けAPI。これが追加されれば、プログラム言語Java(ジャバ)などで開発する周辺システムからグループ向けAPIを呼び出すだけで、MINORIの機能が使用できるようになります。ちょっと難しい話になっちゃいますね・・・。

 今はMINORIの機能を使用するためにはメインフレーム上で稼働する「取引メイン」や業務アプリケーションを改修する必要があります。開発言語はCOBOL(コボル)でありミドルウエアは「SAIL(セイル)」。COBOLや勘定系システムに精通していない一般のプログラマーにとって、その開発は容易ではありません。APIを追加することで、MINORI本体に手を加えずに新しいシステムを開発できるようになります。

■一体運用でコスト200億円削減

 開発費だけでなくシステム運用コストも減らします。みずほFGは19年度に始まった5カ年計画でIT(情報技術)コストを累計720億円削減する目標を掲げています。そのうち情報システムの保守・メンテナンス費用の削減分はなんと約7割を占め、500億円程度に上るとみているようです。MINORIの導入による直接的な効果としては、3つに分かれていた勘定系システムの運用が一体になるため「100億~200億円の経費削減につながる」と、みずほ銀行の片野健執行役員は見通しています。

システム化することで、お金は最初はかかっても最終的には、大幅なお金と時間と労力の削減につながります。公務員をはじめ、紙大好き企業はいい加減、古い体質にしがみついていないで、目を覚ましてください。

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