AI活用 人材は3種類のバランスが重要 サイエンティスト・ジェネラリスト・エンジニア

最近はAIの勢いがすごくて、AIのことばかりお話ししていますね。私も勉強になると同時に日々驚くことばかりです。ところで、企業が人工知能(AI)活用を進めるには、どのような人材を獲得し、育成すべきなんでしょうか。

米国で学び、台湾の大学で准教授を務めた台湾エイピアチーフAIサイエンティストのミン・スン氏へのインタビュー記事がありましたのでご紹介します。

スン氏がAI研究を始めたのは15年ほど前。2005年から米スタンフォード大学のアンドリュー・エン氏の下で、機械学習をテーマに修士論文に取り組みました。それからプリンストン大学にてフェイフェイ・リー氏の下で博士号取得のための研究を開始し、ImageNetプロジェクトに参画することになりました。

最終的に、ミシガン大学でシルビオ・サバリーズ氏の下で博士号を取得。 14年に台湾に戻り、清華大学の電子工学部で教鞭を取り始めました。世界有数のAIの学会で多くの論文を発表し、最優秀論文賞を受けたこともあります。そして18年7月にエイピアに入社、チーフAIサイエンティストとして企業目線でのAI技術の開発やソリューションの適用に取り組んでいます。

ここ数年、台湾での産学官連携は増えているそうで、清華大学でも彼以外に数人が産業界に移り、アカデミックな立場からビジネスに関わっています。

産業界との行き来は特別なことでなくなってきている一方で、産業界への人材の移動は、大学教育に影響を及ぼしています。台湾の大学ではAIを教えられる人材が不足し、(民間に移った)彼も講義を持っています。

AI人材の不足は世界共通の課題ですが、状況は改善されていくと思われます。

日本でもAI人材を育成する学校などが少しづつ出始めていますね。若い方は何も考えずにとりあえず大学!って方がいるなら、そちらに行くよりはずっと専門学校などの方が今は良いのかもしれませんね。ただ、今高校生などの方は、じっくり調べた方がいいと思います。今後は間違いなく、大学にAI学科のようなものが出来てくるはずです。国の流れからして間違いなくそうでしょう。

ちなみに、AI人材は3つに分けられます。

エリート層である少数のデータサイエンティスト。

一般的なAIの概念と知識を持ってエリート層とコラボレーションできるジェネラリスト。

エリート層が作ったシステムを運用しメンテナンスするエンジニア。

これらの人材をバランスよく育成することが必要だそうです。 ジェネラリストとエンジニアは、世界各国でオンライン育成コースが運用されています。これらを受講・受験することで、AI人材を育成する仕組みが出来上がっています。

一方でデータサイエンティストは、3年や5年といった時間をかけて、確立された研究機関で育成する必要があり、ここが難しいところ。

しかし、ポストドクターでシアトルのワシントン大学にいた彼は、素晴らしい戦略で人材を集め、育てていました。他大学の有力な教授を研究室ごとシアトルに招へいするプログラムがあったのです。教授やその家族、研究室の研究者をワシントン大学に丸ごと引っ越しさせて、大学のポストだけでなく企業のポストも用意。こうして集めた人材が研究成果を出すだけでなく、育った人材がシアトルの大学や企業で業績を残していく。さらに招へいした教授がスタートアップ企業を立ち上げる、といった好循環が生まれているんです。

彼は日本の大学をどう見ているんでしょうか。

「日本の大学は、論文もデモもしっかりしたものが多いという印象だ。米国に拠点を移して活動している教授も多いが、いかんせん論文が少ない。米国、中国、欧州に比べてトップの国際会議に上がってくる論文が圧倒的に少ないことが最大の問題ではないか。 5年前だったら、これは大きな問題にならなかった。日本のマーケットは大きく、国内で人材が流通していればよかった。しかし今、人材はグローバル市場で活躍が求められ、日本で閉じていることは立ち遅れにつながる。米国などへの人材流出は大きな問題になるだろう。台湾も同様だが。」と語っています。

■次のトレンドは「説明可能なAI」

では、台湾ではどんな対策を採っているんでしょうか。

1つは、研究成果をどんどん国際的な場に出す動き。

もう1つは米国など海外で教育を受けた台湾出身の教授を台湾の大学で採用できるようにする動き。

国際的に論文を発表する機会を増やすことで、世界から台湾のAI研究に目を向けてもらい、台湾に来てもらいやすくする。一方で米国の大学から台湾の大学に来てもらうには、給与レベルなどの是正が必要。最近になって米国から台湾に戻って教育してくれる教授が増えてきました。

今後はどのような人材が必要になってくるんでしょうか。

「エイピアのようなサービスプロバイダーは、コアテクノロジーを開発してユーザー企業に提供していく必要があり、質の高いデータサイエンティストを求めている。 AIサービスを利用するユーザー企業は、機械学習やディープラーニングのサイエンティストを多く抱える必要はない。その代わりに、機械学習やディープラーニングなどが提供するAIの価値や意味を理解し、必要なメンテナンスを実施できるような人材が要る。ビジネスとテクノロジーとの橋渡しをするジェネラリストやメンテナンスエンジニアが求められるだろう。」と語っています。

ちなみに、日本も頑張ってはいます。日本ディープラーニング協会がジェネラリストのG検定、エンジニアのE資格といった資格試験を実施しているんです。彼はそれについて下記のように語っています。

「そうした人材育成は間違いなく重要だろう。一方で資格試験の難しさがいくつかある。1つは数と質のバランスだ。資格試験を実施すると、どうしても合格者などの数をインセンティブにしがちだ。求められるのは質の高い人材であり、質と数のコントロールをどのように実施するかが課題になる。 もう1つはAIの世界の進歩の速さにどうキャッチアップするかだ。大学で教えていたときにもキャッチアップが大変だった。自然言語処理を見ても18年と19年とでは求められる知識が異なる。認定の対象とレベルとを明確にして、技術変化に対応できる試験制度を作る必要がある。 」

また、ジェネラリストが今後、注目すべき技術トピックについて、彼は下記のように語っています。

「今後注目しているのはクリエイティビティーAIだ。AIが創造性を発揮できることが、この2~3年で示された。新しい画像を生み出したり、CGアニメで新しいダンスの振り付けを作ったりできるようになった。クリエイティビティーAIの能力をうまく生かすことで、人間なら時間がかかることを短時間で実行できるようになる。 もう1つは、説明可能なAIだ。さまざまな分野で、AIのアウトプットをそのまま信用できないような状況が見えてきた。医者はAIの言うことを信じていいのか、金融でユーザーの信用度を評価する際にAIの判断を信頼していいのか。人間とAIとの間の信頼を構築していく必要があり、そのためには説明可能なAIが求められる。それが人間中心のAIにつながると考えている。 」

AIの活躍の場、どんどん広がってきそうですね。人間の世界がAIに乗っ取られるなんて当初恐れられていたようなことが起きないように人間も頑張っていかないと!って感じですね!

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