AI面接、人事をアシスト 選考にゆとり

空前の売り手市場ともいわれる新卒採用や人材の流動化を背景に、企業の人事部門は多忙を極めています。

人と人が顔を合わせて人材を見極めるのが採用の基本なのはもちろんですが、AI(人工知能)などがそれをアシストする「採用テック」が広がろうとしています。

  ■AIとの面談に1時間

「学生生活で熱中したことはありますか」。

手にしたスマートフォンから流れる”面接官”の質問が終わると、画面に制限時間が表示されて録音が始まった。

「演劇サークルで大道具を担当していました」

と答えると、今度は

「なぜそのような活動を始めようと思ったのですか」

という問いが返ってきました。これは、 人事関連のスタートアップ企業であるタレントアンドアセスメント(東京・港)が開発したAI面接サービス「SHaiN(シャイン)」の一幕です。まるで人間の面接官のように・・・すごいですよね・・・。

いつでもどこでもスマホで採用面接を受けられるのが最大の売りで、さらに先ほどのように、スマホ越しの「AI面接官」は用意した質問を投げかけるだけではありません。人間の面接官さながらに突っ込んできたりするんです。

「もう少し詳しく教えてください」。

体験した記者によると、回答の不十分さを何度も指摘され、思わず声がうわずってしまい、自分が適切に答えられたのかという手応えが人間相手以上につかみにくく、落ち着かないそうです。

面接は約1時間にも及びました。 とはいえ、AIの役割はあくまで人間の支援。面接後には質問と回答がテキストデータに加工され、タレントアンドアセスメントに所属する専門の分析スタッフらが動画情報と併せて一人ひとりの学生を評価するかたちです。

評価対象は「バイタリティー」や「柔軟性」など11項目で、10段階の点数とテキストデータを採用企業に提供。 昨年の秋採用から1次面接にシャインを導入したあるメーカーは人事担当者が6人。

それまでは1人の学生につき2人の担当者が30分程度の面接を行っていました。面接日程の調整などにも時間と手間がかかっていました。

■リポート1人分、1分で読了

一方、シャインの1人分のリポートを読むためにかかる時間は15分程度。メーカーの担当者は「時間に余裕ができたこともあり、採用基準に合った学生の通過人数を増やせた。通過した学生のフォローも充実できた」と満足げ。

さらに、リモート面接は学生にもメリットがあります。地方の学生が東京などの企業を受ける際の移動にかかる時間や費用はばかになりませんよね。旅行気分でも来てみたいという方は別にして。

東京などの学生でも授業やアルバイトの合間でも受けられるという利便性は高いです。今年、生命保険会社の選考でシャインを使った都内の私大4年生は「ゴールデンウイークに自宅で受けたが、とても手軽だった」と話しています。

良い時代ですね。いちいち暑い中、スーツを来て出かけなくても面接ができる。というか、そのほうが本当の自分が出せそうな気がするんですけどね私は。

日立キャピタルは2019年卒採用からウェブテスト後の1次面接でシャインを使っています。目的は効率性だけではありません。シャインを使うことで、より学生一人ひとりの特性などを深掘りできると考えたからです。 担当者は「シャインは面接時間が長いこともあってリポートが充実している。それをしっかりと読み込むことで、クリエーティブ力などの特徴が把握しやすくなった」と効果を実感しています。

AIだからと甘く見てはいけないようですね。

■受験者の2万5000通り特徴を見極め

一方こちらは、動画を使った選考ツールも注目を集めています。米国発の「HireVue」(ハイアービュー)は回答内容だけでなく表情や声のトーンも識別します。15分以上の録画データをもとに、AIが受験者に関する約100万の情報を取得し、2万5000通りの特徴を見極めます。

採用したい人材の基準は企業によって異なりますよね。利用企業はまず、自社で活躍する500人にハイアービューの面接を受けてもらい、それを採用基準となる「教師データ」とします。 AIは受験者の録画データから視線や目元、口元など顔の筋肉の動きを捉える。発言内容だけでなく、こういった表情の動きや声の抑揚などから得られるデータを掛け合わせ、多角的に受験者と教師データの類似性を計測。活躍する人材の教師データに近いほど点数が高くなる仕組みです。

ハイアービューのAI機能は15年という早い時期からサービスが始まっています。米国ではホテルチェーンのヒルトンや日用品のユニリーバなどが導入しており、海外での受験件数は100万件を超えたといいます。国内販売を担当しているタレンタ(東京・渋谷)は「海外では選考の一部にAIを取り入れることが当たり前になりつつある」と話しています。 スタートアップや外資だけでなく、大手人材会社もAIを選考に活用するサービスに注目します。

マイナビは三菱総合研究所と共同で、AIがエントリーシートを評価したり、辞退する可能性を診断したりするシステム「PRaiO」(プライオ)を提供しています。

これとは違いますが、最近話題になりましたね、辞退する可能性のデータをリクナビが企業側に譲渡していたというニュース。記憶に新しいです。

さて、こちらのプライオ、まず、過去に選考を受けた学生の情報をAIに覚え込ませ、会社ごとに選考の通過しやすさを評価するモデルをつくります。AIが学習するデータはエントリーシートのほか、適性検査結果や説明会への参加回数などさまざま。学生がどこまで選考を通過したか、内定を辞退したかなどの情報も掛け合わせます。

■AI完全信用には至らず

2年前から活用している化粧品メーカーはプライオに診断させる一方で、従来通り人事部員もエントリーシートを読んでいます。「AIを完全に信用するところまでは至っていない。いまは精度を確かめている段階」といいます。 同社では毎年約5000件寄せられるというエントリーシートを3人の担当者が読み込んでいます。「全員が1週間、会議室にこもる」。AIに学習させるデータが増えたこともあってプライオへの信頼度は徐々に高まっているといい、いずれはエントリーシート選考を完全にAIに任せたい考え。

アメリカなどの海外に後れを取っているとはいえ、日本もAIを選考に活用する企業が確実に増えていますね。ただ、このニュースで私も知ったように、それを表だって公表していない企業も多いようです。

「一生懸命書いたエントリーシートをAIに読ませているだけだと受け取られると、学生からの評判が落ちるのでは」。プライオを使う化粧品メーカーが抱く危惧は多くの企業に共通しているそうです。

私はそんなこと気にする必要は無いと思いますけどね。結局は、就職・転職というのは二つの要素ですべて決まるからです。それは、

「運」と「縁」

です。 なので、最初のエントリーシートの段階などはAIも進化していますし、人間の作業を減らして業務を全体効率化するためにも全然AIに任せていいと思いますけどね私は。

ただ、こうした懸念が根強いうちは、採用テックが日本で「市民権」を得たとはまだ言いづらいですよね。しかし、採用環境の厳しさが続くなか、働き方改革も広がる中、効率性と公平性を向上させたい企業は増える一方で、今後は利用が広がっていく可能性が高そうです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です